2011年8月12日金曜日

”エリオット・アーウィット”(Elliott Erwitt) と料理と 芸術論

『写真家と芸術論』(1)”エリオット・アーウィット(Elliott Erwitt) :映像と文化通信

写真通信社の仕事を通じて、キャパ、ブレッソン、スミス、ハース、アーウィット、サルガードなど写真とアートについて多く考えさせられた。

マグナムのエリオット・アーウィットはたまたま何度も会う機会があり、あるとき大阪・梅田にほど近い堂山町で食事しているときアーウィットが突然意外な芸術論を述べたことがあった。

 大阪、堂山町の和食の料理人(板前)の料理があまりに見事で、エリオット・アーウィットが心のこもった声で『自分の写真は芸術ではないが、この名板前の料理こそ芸術だ!』と誉めたのである。最初は筆者は謙遜でそう言ったと思ったが、板前の手さばきはまさしく見事でアーウィットがそう思っても故ないことではない。

 アーウィットはユーモアたっぷりの人で面白いことをしたり、言ったりで付き合ったひとは魅了される。1928年パリ生れ11才までヨーロッパで過ごして、そのあと米国へ。ロシア系の顔(両親はロシア人)。1953年マグナムに参加。フルシチョフの取材では大成功を納めて有名。犬や人をユーモアあふれる撮り方で撮影して発表。アーウィットの犬の写真を愛する人は少なくない。
 http://www.magnumphotos.co.jp/ws_photographer/ere/index.html

 アーウィットはファミリーオブマンの写真展に作品を提供、ベッドで遊ぶ赤ん坊をベッドに目線をおろして見つめる母親と赤ん坊の写真は評判になった。
 京都で会ったときは、成長した赤ん坊(ミーシャ)を伴っていた。なんども可愛い女性だとおもったのは筆者。あの写真のベイビーが彼だと説明されてはじめて、青年(男性)だと知った。彼は後ほどプロの写真家になった。
 アーウィットは阿倍野の近鉄百貨店で学生服をあつらえたことがる。カップルでそろえた。学生服はモーニングみたいで正式のパーティに着ていけると主張。なるほどと納得。
 筆者もいつか学生服をあつらえてみたいと思っている。高校卒業まできていた便利な学生服、それがパーティ用のフォーマルになるとは。
 筆者は料理こそ芸術だと主張したアーウィットのことは何度か語ってきたが、次第に確信をもつようになった。
 大学の講義で料理は芸術だと教えるコースもあるようだ。いい料理素材を探して、工夫して料理をする。程好い時間を掛けて、温めたり、焼いたり、あぶたっり、揚げたりして作り、器に盛る。料理は人を元気付け、いのちを与える。音楽や写真と違って、CDやプリントにし、残し難い。その場その場の一期一会の芸術である。

  堂山町の小麦という小さな和食の料理屋さん、東京にはちょっと見られない、リーズナブルで料理がすばらしいお店である。
 この店には渡辺義雄、浜谷浩、岩宮武二、細江英公、野町和嘉、久保田博二、水越武ほか日本人写真家が訪れている。外国人ではブレッソン、ハース、コーネル・キャパ、アーウィットほか料理を楽しんだ由緒のあるお店である。シェフ(板前)の合戸さんは料理の達人である。
 
 料理を目の前で作っているのが見えるカウンター。手さばき、盛り付けが時間の経過をt追って手にとるように見えるのである。二階もあるが一階のカウンターで料理をたのしむのが最高。

  お店の案内:店名『小麦』 阪急東通商店街
. 季節料理. 日・祝日休み. 17:00~23:00. 〒530-0027. 大阪市北区堂山町16-6.
?06-6311-3466. 06-6311-3269 ... アットホームな雰囲気のお店。よければ
一度楽しんで下さい。..
-----以下に掲載をここに転載
2008年03月18日
映像と文化通信 ケイ・イシカワ

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